2020/10/19 15:50

家の排水管の流れが悪い、流れないといった症状が起こる場合があります。これには様々な原因があります。排水管が完全に詰まった状態になってしまってからでは対処がとても大変ですし、お金もかかります。


詰まりの予防のためにも、今回はその原因になるものについて8つほどにまとめていこうと思います。


1:油脂類、洗剤の付着・蓄積



私たちの生活の中で、避けにくい汚れの原因の一つではないかと思います。食事をし、洗い物をする以上、少なからず油脂類が排水口へ流れることはあります。

動物性油の凝固する温度は22~45℃です。そのため、排水管を流れていくうちに簡単に冷えて固まってしまいます。植物性油は市販の洗剤と反応するため、エマルション物質という乳白色の物質になり、これも排水管の中で固まりやすいです。

こういったものが混ざり、排水の過程で排管内に徐々に溜まっていきます。管内に汚れが付着すると、そこにさらに汚れが蓄積しやすくなります。そして段々と排水管が狭くなり、流れが悪くなってきたり、詰まりを発生させたりします。


2:毛髪、繊維の付着・停滞



こちらはお風呂場や洗濯機下の排水管で発生しやすい原因の一つです。排水によって流された毛髪や繊維は、排水管の角や曲がった部分などに引っ掛かりやすい他、ヌメリなどにもひっつきやすく、詰まりの原因となります。

シャンプーや石鹸カス、洗濯洗剤なども固まって排水管内壁に付着する場合があります。こういったものが付着すると、毛髪や繊維はそこに引っ付きやすく、汚れが溜まりやすくなります。


3:尿石の付着・蓄積



トイレでは紙の詰まりなどもありますが、尿石が蓄積することによって排水不良や詰まりを引き起こす可能性もあります。ただし、これは男性用小便器に多い例で、家庭の水洗トイレではトイレットペーパーなど雑物が詰まることが多いです。


4:異物による排水不良



1~3に挙げた例では、生活上ある程度仕方のないことが多いです。しかし、異物は本来排水口から流れてはいけないものです。具体的にはお箸やスプーンなどのカトラリー、雑巾、たばこ、おもちゃ、化粧品などの生活用品です。こういったものを誤って排水口へ流してしまい、それが詰まりの原因となることがあります。


5:排水管の勾配が不適切



排水管には一定の勾配(傾斜)が設けられていて、汚水が適切に流れていくようになっています。しかし、この傾斜の角度が不適切(勾配不良)だったり、逆(逆勾配)になってしまう場合があります。

原因は様々ですが、排管の経年による劣化、地震などの災害、車の重みなどなんらかの力が加わって変形してしまう場合が多いです。
こういった勾配の不良は、適切な排水ができなくなったり、毛髪や汚れなどがスムーズに流れず、詰まりを発生させたりと問題が発生します。


6:植物の根の侵入

木の根っこなど植物の根が排水管内に侵入して、排水経路を塞いでしまう例です。排水管のつなぎ目など、わずかな隙間があるところから侵入します。排水管には一定の水が流れてくるため、すぐに成長し、排水の流れを妨害して詰まりを引き起こします。


7:排管の腐食・割れ



今日では少なくなりましたが、排水管に使用される素材の金属管(銅管や鋳鉄管など)は腐食による穴が開く場合があります。主に経年劣化や酸性の洗浄剤の使用などによって起こることが多く、漏水の原因や、木の根や土砂の侵入の原因になることもあります。

今の排管の素材は多くの場合塩ビ管のため、錆びが発生して穴が開くといったことはなくなりました。しかし、こちらもヒビや割れや変形が生じることで漏水が発生することがあります。

原因としては、5の不適切な勾配のところでも触れましたが、地震などの自然災害や車の出入りによる振動などで割れが生じてしまう
ことがあります。変形は、薬剤の使用による溶解熱で発生することがあります。特に経年により古くなった排管はこういったことが起きやすいです。


8:排管の凍結



寒い地域では稀にトラップの封水や排水桝に溜まっている水などが凍結する場合があります。トラップには凍結防止用のヒーターが
備え付けられるようになったため、このような例は少なくなってきてはいます。


一般的な排水管の清掃方法


排水管の清掃にはいろいろな方法があります。大別すると、機械(器具)を使用して物理的にヌメリや汚れを落とす機械的清掃方法、薬剤の反応を利用して汚れを溶かしたり、落としたりする化学的清掃方法があります。

いずれにしても、排水管清掃の本来の目的は予防にあります。排水管が詰まったときに慌てて行うものではありません。詰まりや臭いの逆流が発生しないように衛生的に保つことが理想です。ここではいくつかの清掃方法を書いていこうと思います。


薬剤を使用した清掃方法


薬剤の使用による清掃は、業者はもちろん、一般家庭でも普通に使用されます。手軽で便利な反面、使用に注意が必要な場合があります。保管場所に注意や手袋・マスク・保護メガネなどの着用、換気の推奨、塩素ガス発生の注意など、気をつけて使用しなければいけません。


アルカリ洗浄剤による清掃



キッチンやお風呂などの排水口には、油脂類、毛髪、洗剤等たくさんのものが日々流れます。そういったものが付着してヌメリ汚れが発生するところに、アルカリ洗浄剤は有効です。

成分の多くには、次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、界面活性剤などが使用されます。

また注意点もあります。強いアルカリ性のものは身体に触れると、皮膚のタンパク質が侵され、火傷のような炎症を引き起こすことがあります。皮膚に触れたときの刺激があまり強くないため、気づかず放置してしまったり、安易に考えてしまい、思いもよらない重大な事故に繋がる可能性もあります。濃度の低いアルカリ性の液剤でも皮膚がぬるぬるしてしまうのは、溶けているわけではなく、皮脂の反応によるものです。

排水管に使用する際には、保有水量にもよりますが、溶解したときの温度は100度以上になるため、排管が変形してしまうこともあります。


酸性洗浄剤による清掃

酸性の洗浄剤は主に尿石の除去や水垢取りとして使われるものが多いです。成分は、塩酸、界面活性剤、硫酸などのものが使用されます。

金属への腐食性が強いため、排水管が銅管などの場合には、洗浄後十分な水を流したりと注意が必要です。


バイオ洗浄剤による清掃



微生物の働きや酵素の働きなどを利用した、バイオ洗浄剤というものもあります。成分については、弊社のもののように100%天然成分のものもあれば、界面活性剤等を混合したものまで様々です。

効果も様々ですが、基本的には汚れや異物を溶かすわけではなく、剥離させたり、分解することで汚れを取り除きます。弊社商品のように、排管のずっと奥まで効果を及ぼせ、定期的な使用で予防効果の見込めるものもあります。

アルカリ性・酸性洗浄剤のようにすぐに効果がでるものではなく、何度か使用して効果が得られるものが多いです。


機械・器具を使用した清掃方法


排水管の清掃には、様々な器具を使用することがあります。専用の機器を用いて、効果的に管内に付着・蓄積した汚れを効果的に清掃します。


高圧洗浄


高圧洗浄による排管の清掃が業者による一般的な清掃方法です。高圧洗浄は、水量と水圧によって管内の汚れを取るシンプルかつ強力な方法です。


ワイヤー式清掃法



排水管内に柔軟かつ丈夫なワイヤーを通し、異物や汚れを除去する方法です。先端の形状を付け替えることができ、用途に合わせて適切な物を取り付け、目的を除去します。

高圧洗浄よりも清掃効果が劣ることや、排水管が太い場合などには上手く目的の場所に当てにくいため、メインとして使用されることは少ないです。ボールペンなど異物が詰まった場合に摘出するために使用されたりします。


空圧式清掃法

主にトイレの便器で使用されることが多いのが、この空圧を利用した清掃方法です。トイレットペーパーなどにより詰まってしまった排管を、空圧によって除去する方法です。

圧力がかかるため、他に繋がっている排水口があれば逆流してしまう可能性があるため閉じなければしけません。他にも排管の接続が弱い部分があると、外れてしまう可能性もあるため、自分で使用する際には注意が必要です。


まとめ


今回は排水管のトラブルの主な原因とその清掃方法について、大まかにまとめてみました。自分で行える清掃方法については、もう少し具体的な内容も別記事にまとめていこうと思います。

排水管清掃の本質は予防にあります。毎日掃除というのはなかなか大変でできないこともありますが、詰まりや害虫の発生を防ぐためにも気をつけていきたいですね。